「春は名のみの 風の寒さや~」で始まる大正2年(1913)に発表された歌曲です。当時、東京音楽学校の教授だった吉丸一昌が作詞しています。暦の上では立春を過ぎれば春ということになっていますが、春とは名ばかりでまだまだ寒い時期の季節感を歌い上げています。冬から春へ移ろう最も美しい季節、日本人ならではの繊細な季節感と春を待ちわびる気持ちを歌った名歌だと思います。作曲者の中田章は「夏の思い出」や「ちいさい秋みつけた」などで知られる中田喜直の父親にあたります。