島村抱月主宰の劇団・芸術座から音楽会のための作品を依頼され、大正2年(1913年)に北原白秋が作詞したものです。初めから歌のために書いた詞であり、作曲者の梁田貞(やなだただし)にとっては初の白秋作品となりました。当時、苦境に立たされていた白秋の心情を思いやるかのような重く暗い曲調になっています。短調と長調を行き来するところなど、技巧的にも凝った作りになっており、格調高いクラシック系の名曲として歌い継がれています。